B009g エンジン7
レポート提供 Neko氏@神奈川

事前準備 シムを入れる小さなビニール袋、油性マジック、ガムテ、パーツクリーナー、ウエス、スレッドコンパウンド、パーツクリーナーのノズル(ヘッドボルトのワッシャーをヘッドへ入れる時に使用)、懐中電灯、OILジョッキ、エンジンオイル(少々)、室温計
参考 整備要領書追補版T B-
事前注意事項 ヘッドに取り付けるパーツは数が多いので、作業台の上に予めきちんと並べておく事。

シムです。バルブクリアランスを調整するためには、この『シム』の微妙な厚さで調整します。市販されている厚さの種類は全部で70種類です。2.275mm〜3.325mmまで、0.015mmトビで設定があります。仮に2.275のシムを選んだとしますと、そのシムの厚さは2.275mm『ではなく』2.275〜2.290の『間』のもの。と言う事になります。
今回は、シムの在庫を再測定するところから作業開始です。マイクロメーターはデジタルなものを使用しました。いや、使用させて頂きました^^;デジタルですと数値がピタッっと止まってくれますので安心ですね^^;さくさく氏の経験から測定方法を学んだ後、初のシム測定トライです。う〜ん。。。ちょっとした力加減で1/1000mm単位な数値がコロコロ変わりますね。。。マイクロメーターを回す右手の力加減をなるべく一定にしつつ、シムの中心部を測定するという事に注意しながら測定しました。シムを測定した後は、一つ一つ小さいビニール袋へ入れた後、測定した数値を袋へ記入しておきます。全部で百数十個はあったような。。。
オイルギャラリーオリフィスです。純正のオリフィス(Φ2mm)ですと径が大きい為、ヘッドへ過剰なオイルが供給されるという事でTOMEIさんのヘッドガスケットに『おまけ』みたいな感じで入っているオリフィスを同じ場所へ打ち込みます。純正のオリフィスを一旦奥(6mm程度)まで打ち込んで、その上に新しいオリフィスを打ち込みます。新しいオリフィスの内径は、約1.5mmです。打ち込む前にブロック上面をキズ付けない様、オリフィスの周りをガムテで保護しておきましょう。
ピンポンチを使用し、まず純正のオリフィスを奥まで打ち込みます。取説には6mm程度打ち込むとあります。ピンポンチの先端から6mm程度の位置にマーキングをしておけば、どこまで打ち込んでいいのかが判りやすいかと。少しずつコンコンコンコンコンッと打ち込みます。さくさく氏愛用のポンチには6mm付近に既にマーキングが。。。くぅ〜っ(謎)
新しいオリフィスです。写真では判りにくいかもしれませんが、面取りが施されている方を『下』に向けて打ち込みます。集中して打ち込まないと、オリフィスが『グキッ』っと斜めになったりしますので、オリフィスに対してポンチを垂直に当て、ポンチの面がオリフィスの面に均等に当たるように注意しながら打ち込みます。
ブロックの上面に対し『1mm程度奥』まで打ち込めばOKかと。
ヘッドガスケットを装着する前にパーツクリーナーでブロック上面を脱脂しておきます。
ガスケットをブロックの上に乗せる前に、ブロック上面にダウエルピンを2個装着しておきます。ヘッドとブロックの位置決めを行う重要なピンですので、忘れずに装着しましょう。装着する位置は、5番と6番の間のEX側と、1番のEX側、且つフロント部分の穴です。ピンの外径に合わせてブロック側に穴が開いていて、装着と言うより穴に軽く押し込んでおく。といった感じです。
メタルガスケットです。今回使用するガスケットはTOMEIさんの厚さが1.2mmのものです。全部で4枚(4層)になってるんですね。初めて知りました(爆)
ガスケットを先ほど装着したダウエルピンに合わせつつ、装着します。
ガスケットは形状的に表裏はわかるはずですので間違うことはないと思いますが、ガスケットに開いている穴の位置とブロック側の穴の位置が同じになっているか念のために確認しておきます。念には念をです。
クランクを回してbPシリンダーを圧縮上死点位置へ移動した後、ヘッドをブロックへ乗せます。(この時点でbPシリンダーを圧縮上死点へ移動させる理由は、この後にカム装着する際、バルブとピストンが干渉しないようにする為です。bPシリンダーを圧縮上死点の位置にする事により、ヘッドにカムを乗せる際の位置もおのずと決まってきますので、安心です。)ダウエルピンの位置を確認しつつ、慎重に、ゆっくり、ヘッドをブロック側へ下ろしていきます。今回は作業を見学されていたなるかわさんに手伝って頂きました。出来ることなら二人で作業をした方が安心ですし腰にも優しいです。重いですしね^^;なるかわさん、ありがとうございましたっ^^
しばし。。。見学です(笑)
ヘッドボルトの『首』の部分と『ネジ山』の部分にスレッドコンパウンドを塗布しておきます。新品のボルトですが、ネジ山に塗る際にネジ山が傷んでいないか確認しつつ、スレッドコンパウンドを塗り過ぎないように注意しながらヌリヌリしました。
ヘッドボルトのワッシャーです。面取りを施してあるほうが『表』で、ボルト側に向けます。
こちらは『裏』です。見ただけで表裏は判ると思いますが、表裏を間違えて入れないように作業台の上にきちんと並べておきましょう。
パーツクリーナーのノズルを使用し、ヘッドボルトワッシャーを『スススーッ』っとヘッドへ滑り込ませます。念の為にきちんと入っているか懐中電灯で確認しました(笑)
そしてヘッドボルトを静かに挿入。。。
さぁ、ヘッドボルトの締め付けです。整備要領書には、まず3kgmで締め、次に11kgmまで締め込み、その後一旦0kgmまで緩め、また3kgmで締め、最後に。。。角度レンチの場合は85°〜90°、トルクレンチの場合は11±O.5kgmで締め付ける。と記載されています。今回は、最初にTレンチで手で締まるとこまで締め(手に『クククッ』っとトルクがかかるくらいのとこまでですね。)次に3kgm→8kgm→11kgm→0kgm→3kgm→8kgm→11kgmの順で締めました。8kgmが余計な感じがしますが。。。単に間違えただけです(爆)が、均等に締め付けるという意味で。。。良しとしました。ボルトを締め付ける際の順番と緩める順番は決まっていますので、間違えないようにしましょう。あと、エンジンスタンドで11kgmのトルクをかけますと、エンジンスタンドそのものがトルクに負けて移動し始めますので(爆)、誰かに支えてもらいながら締め付けたほうが安全で力も入れやすいかと。今回は、作業を見学されていたまことさんにエンジンスタンドを支えてもらいながら作業を行いました。まことさん、ありがとうございましたっ^^
ヘッドボルトを締め付ける前のガスケットの状態です。
こちらはボルトを締め付けた後のガスケットの状態です。当たり前ですが『ピッタンコ』にヘッドとブロックがくっついています。って、写真が小さくてわかりませんね^^;
ここで一旦、ヘッド部分に埃等が入らないようにガムテでフタをした後、皆さんと『しぞ〜かおでん』を食べつつ、しばし談笑です。何度食べても美味しい『しぞ〜かおでん♪』
おなかいっぱいになったところで作業再開です。ヘッドにシムを置く前に、オイルジョッキを使用し、シムを乗せる部分にエンジンオイルを『ドピュッドピュッ』と塗布しておきます。
オイルを塗布しながら、一つ一つ、シムを乗せていきます。今回シートカットを行ってますので、シムはSTDなものより薄いものが必要。と予め予測できています。ですので、再測定したシムの中から一番薄いものを順番に入れていきました。素手でシムを掴んでリテーナーの上に置いていきますので、指先をキレイにしておきましょう。
全てのシムをリテーナーの上に乗せ終わったら、リテーナーの周りとシムの上にオイルを塗布しておきます。
次に、リフターの側面にオイルを塗布します。側面にオイルを垂らした後、指先でオイルを均等に伸ばしながらヌリヌリしました。
ヘッドへリフターを挿入していきます。一つ一つ、側面にオイルを塗ってはヘッドへ挿入、という地味な作業の繰り返しです。
リフター挿入後、リフター側面と上面にオイルを塗布しておきます。オイルの量が少ないとカムシャフトがかじってしまう事があるということで、ここでは多めに塗布しておきました。ヘッド部分のカムシャフトを支えているジャーナル部分にもオイルを塗布(指にオイルを付けて塗りました)しておきましょう。
カムシャフトです。今回はTOMEIさんのポンカムType-Rというカムを装着です。装着前に、パーツクリーナーでブシューッ!っと洗浄です。
IN、EX共に、慎重にカムを乗せます。カムを乗せる際、bPシリンダーのピストンは圧縮上死点の位置にありますので、エンジンをフロント側から見て、IN側のカム山が9時の方向、EX側のカム山が3時の方向になるようにして乗せます。この時、カム本体の先端に付いているノックピンの位置は、IN側が10時の方向、EX側が2時の方向になるはずです。ぴったり合ってる必要はなく、目視でだいたい合っていればOKです。こうする事によって、カムを押し込んでいってもバルブとピストンが干渉しないようになります。カムを乗せる際は、少しでも斜めにして乗せようとすると、カムのフロント側とヘッドのフロント側のジャーナル部分が噛み込んでしまってきちんと入りませんので、まっすぐに下ろすように注意が必要です。ヘッドのフロント側のジャーナル部分は、カムのスラスト方向の動きを抑制している部分ですので、他のジャーナルのようにすんなり『カムを置く』というイメージではありません。『きっちりカムをジャーナル側に入れる。』というイメージです。噛み込んでは外し、噛み込んでは外し、を何回か繰り返してようやくカムが収まりました。(爆)
カムキャップを乗せます。カムキャップ上面の中央付近には英数字の打刻があります。『I』がインテーク側、『E』がエキゾースト側の意味で、IとEの横に打刻されている『数字(1〜7)』が、フロント側からの装着順番になります。で、エキゾースト側に立ってカムキャップを真上から見下ろした際に、打刻の文字が『I1』とか『E1』とか普通に読める状態がカムキャップの『正しい向き』です。キャップの向きを間違えようにしましょう。と言いつつ、次回はヘッドを分解する際にカムキャップの位置と向きをマーキングしておこうと心に誓ったおいらなのでした^^;
カムを乗せたらキャップボルトを差し込みます。
フロント側からカムの状況を確認しますと。。。う〜ん。。。見事に浮いてます。カムはどんな位置で置いてもどこかのカム山がリフターを押しますので、これは仕方がありません。
カムを浮かせている犯人です(笑)
カムキャップボルトの締め付けです。カムが浮いた状態から水平に押し込むように締め付けていかなければいけません。今まで締め付けてきたクランクキャップボルトやヘッドボルトは、締め付ける順番とトルクさえ間違えなければ、ある意味『単に締め付けていくだけ。』でしたが、今回はヘッド上で斜めになっている(フロント側が浮いている)カムを水平にしつつ締め付ける。という、おいらみたいな初心者には『鬱な作業です(笑)』各ボルトを締め付ける度に、バルブスプリングの反発力によって、カム、カムキャップ、キャップボルトの全てに『押し戻されようとする力』がかかってきます。1本1本を少しずつ締め付けていくわけですが、締め付けるたびに各ボルトにかかる負担が『あっちこっち』へ移動しますので、最初は『どーしたらいいんだぁぁぁあああ(笑)』みたいになってしまいました^^;。ヘッドのネジ山を『ガリッ!』っとやってしまうと、ヘッドはオシャカです^^;慎重にいかねば。。。と、それだけが頭の中を支配してしまい、カムを水平にしつつ押し込んでいくにはどうすればいいのか?という思考が全く働いていませんでした^^;が、皆さんに怒られながら、いや、ご教授を受けながら作業をしているうちに『あっ、なるほどね〜!^^』みたいな事が少しずつ見えて参りまして。。。^^;そのなるほどね的な作業方法は、まず、キャップボルトをキャップに挿入した状態で、ネジ山2個分くらいを手で回してヘッド側へ入れます。この時、フロント部分のカムは浮いた状態ですので、キャップボルトはヘッドのネジ山に届いていません。この部分はとりあえずほっときます。次に、キャップボルトを少しづつTレンチで回していきます。整備要領書には『キャップボルトは540°回して締め付ける』とありますが、敢えて180°にしました。Tレンチですと180°は判りやすいですし、キャップボルトへ一気に負担をかけたくないという事からそうしました。カムキャップの締め付け順番は『中央から外に向かって締め付けます』緩めるときは『外側から中央に向かって緩めます』(整備要領書に記載されているカムキャップの取り外しと取り付け順番は『間違っている』との事ですので注意が必要です^^;)カムが浮いているフロント部分のキャップボルトは、最初はネジ山にさえ入ってませんので、Tレンチで回しても『空回り』しているだけですが、締め付ける順番を間違えないようする為、回している『フリ』をしました。何回かこの作業を行っていきますと、カムが『ギュ〜』っと押さえられながらだんだん下がっていきます。そうこうしているうちに、最初に浮いていた部分のキャップボルトがネジ山にかかりだしますので、ボルトを手で回してネジ山2個分くらい入ったところで、カムキャップを中央から外に向かって締め付けていきます。一箇所のボルトを集中的に締め付けないようにする事と、カムキャップとヘッド側の『開き具合』を見ながら締め付けていけば、少しずつですが、カムを水平に締め付ける事ができる。という事がわかりました。さっきまでテンションがかかって『グイッ!』って感じで回したキャップボルトが、次に回すときは『スコッ!』っと軽く回ったりしますので『あれ?』っと思うかもしれませんが、先ほども言いましたように、ボルトを回していくうちに、バルブスプリングからの反発力は『どのボルトへ移動しているのか判りにくいです^^;』ですので、キャップボルト自体が軽く回ろうが重く回ろうが、回す順番を間違えない事と、回す角度を一定に保ちながら、カムを出来るだけ水平に沈めていく事が重要かと。カムキャップの全てがある程度までヘッド側へくっついてきたところで、Tレンチでの作業を止め、トルクレンチにバトンタッチです。整備要領書には0.92〜1.2kgmで締め付けるとなってます。今回は1.0kgmで締め付けました。トルクレンチで締め付ける際も、締め付ける順番(中央部分から外に向かって締める)に注意しながら締め付けましょう。IN、EX共に、この作業を繰り返しますが、IN側の場合は、さくさく氏の経験から、カムが回らないようにモンキーレンチで固定しつつキャップボルトを締めました。
1cmは浮いていたであろうカムキャップがピッタリくっつきましたね^^;あ〜怖かった〜(笑)
IN、EX共にカムキャップを締め終えた後、カムのノックピンの位置を確認しておきます。エンジンをフロント側から見て、IN側のノックピンが10時の方向、EX側のノックピンが2時の方向になっていればOKです。角度的にぴったり合っている必要はありませんが、目視であまりにもズレているようでしたら、モンキーレンチを使用して、カムを回し、ノックピンの位置を微調整しておきます。
タイミングベルトカバーバックプレートとカムプーリーを取り付けます。バックプレートは4本のボルトでヘッドに取り付けるだけですので、それほど難しくはありません。(ボルトの準備不足で現時点では2本で仮留め状態です^^;。この後にシム調整が待っていますので、現時点では仮留めでも構いませんが、後でカムプーリーの合マークとバッフルプレートの合マークを合わせる作業がありますので、ガクガクならない程度にボルトを締めておきました。)カムプーリーは、カムの先端にあるノックピンをカムプーリー中央部分の穴へ入れます。カムプーリーには中央部分に5つの穴が開いています。ノックピンの穴はボルトが貫通する穴(4個)の径より若干小さい穴になっていますので、間違う事はないかと。カムプーリーにノックピンを入れた後、四角いワッシャープレートをカムプーリー中央にあてがって、4本のボルトでカムプーリーを固定します。4本とも手で締まるとこまで締め、念のために規定のトルクで締めました。慣れた方ですと、モンキーレンチでカムが回らないように固定しつつ、カムプーリーのボルトを締め付けると思いますが、おいらみたいな初心者ですとボルトをズルッ!っとナメ兼ねませんので、さくさく氏にカムを押さえてもらいつつ、ボルトを締めました。
ヘッドをブロックへ乗せる際にbPシリンダーを圧縮上死点にしておきましたが、ここでもう一度クランクタイミングプーリーの位置で上死点になっているかを確認です。クランクタイミングプーリーを真正面から見て、プーリーの合マークとオイルポンプのプーリーをカバーしている部分(オイルポンプハウジング)の『小さな切り欠き』のような合マークの位置が、対角線上で一致していればOKです。(この時、クランクのキー溝は真上になります。)bPシリンダーが上死点になっている事を確認後、タイミングベルトを装着します。
タイミングベルト装着前に、テンショナーを時計方向に70〜80度振り、その状態でボルトを仮締めしておきます。
タイミングベルトの装着です。既に上記の作業でバックプレートの合マークとカムプーリーの合マークはIN、EX共に合わせています。クランクタイミングプーリーの合マーク位置も合わせていますので、後はベルトを掛けるのみです。今回、TOMEIさんの強化タイミングベルトを使用しています。写真で判りますように、カムプーリーの合マークに対し、ベルトの位置を間違えないように合わせるよう、ベルト側にも合マークがあります。素人の私でも『ここ(笑)』とわかるようになっていました。クランクタイミングプーリー側にもベルトに合マークがありますので、位置合わせは簡単でした^^;。ベルトは、まずクランクタイミングプーリーにしっかり掛け、テンショナーとアイドラーの間を通し、IN側のカムプーリーの合マークを確認しながら掛けた後、EX側のカムプーリーの合マークに合わせながら、最後は『うりゃっ!』って感じで掛けました。最後は少々力が必要かもしれません^^;。全ての合マークの位置が間違っていないか確認した後、カムプーリーに対するベルトの位置を確認です。カムプーリーを真上、真横から見て、タイミングベルトの面積に対し、カムプーリーが前後で均一に出ていればOKです。(目視で前後2mmくらい出ている感じです)要は、カムプーリーに対し、タイミングベルトが『真ん中を通るように掛ける』です^^;。最後に、テンショナーとアイドラーにもきちんと掛かっているか確認後、先ほど仮留めしておいたテンショナー固定用のボルトを緩めます。テンショナーがバネの力で『グイッ』っとベルトを押し込むような感じで戻ってきます。が、ここではまだテンショナーを固定しません。
タイミングベルト装着後、カム山にオイルを塗布しておきます。
クランクを4回転ほど回し、タイミングベルトの『たるみ』を取ります。カ、カ、カムが回ってるぅぅぅぅうううう!!って当たり前ですね^^;
タイミングベルトのたるみを取った後、念の為にもう一度合マークを確認して、テンショナーを規定トルクで締めました。
バルブクリアランスの測定です。bPシリンダーの位置が圧縮上死点になっている時に測定可能な位置は、IN側が@AC、EX側が@BDです。今回はEX側から測定しました。バルブクリアランスの測定は、写真のようにシックネスゲージを二つ使用し、左右から差し込んで行います。ゲージを二つ使用する理由は、1)ゲージをカムとリフターの間に入れる時の角度がきつく(スパークプラグ側から差し込む方の角度がきついです。)厚いゲージ1枚で測定しようとするとゲージが曲がりにくくてきちんと測定できない。2)薄いゲージを重ねて測定すると測定誤差が大きくなる。等です。RB26のバルブクリアランス規定値はIN側が0.45mm、EXが0.38mm、公差は共に±0.03mmです。が、測定する時の気温で補正値がありますので注意が必要です。(気温による補正値は整備要領書に記載されています)測定順は、最初にEX側の@BDを測定し、一旦カムを180度回転させ、EX側のACEを測定しました。私みたいな初心者があちこち移動しながら測定すると『測定位置を間違いやす(爆)』という事で、上記の順でIN、EX共に測定です。通常ですと、まずスパークプラグ側から0.15mm〜0.20のゲージを差込んだ後、反対側から残りの隙間が『0』になるように、最初に差し込んだゲージの『上』へ差し込んで測定していきますが、上記にも書きましたように、今回はヘッドのシートカットを行っており、バルブクリアランスが純正の状態よりも狭くなっている状態です。これを承知の上で、敢えてSTDなヘッドで使用されていたシムの在庫の中から薄いシムを選択してシムをセットしています。ですので、0.15mmでも入らない部分が何箇所もあり、その度に反対側のゲージを色んな値で組み合わせて測定しなければならず、何回も細かい数字を足したり、引いたり、ゲージの組み合わせに『四苦八苦』しながら測定しました^^;測定する度に手はオイルでベトベトになります。そんな状況の中で測定結果をノートへ記入していかなければいけませんので、近くにキレイなウエスを何枚か準備しておいたほうがいいでしょう。測定結果は予想通り、IN、EX共に狭い値になっていました。最初にSETしたシムの値(実測値)、クリアランス規定値、気温による補正値、バルブクリアランスの測定値、これらの数値を全てノートへ記入しておき、後でExcelに表と計算式を作って値を入力し、まず、バルブクリアランス測定結果によるシムの理論値(今入っているシムよりどのくらい薄いシムが必要なのか?)を導き出した後、市販されている70種類の厚さ設定があるシムの中から『どのサイズのシムが必要か?』を割り出したところで、今回の作業を終了しました。最後に、ゲージで測定する際に注意しなければいけない事は、スパークプラグ側から差し込んだゲージを『親指、または人差し指でしっかりゲージを押し、リフター上面に『ピタッ!』っと、くっつけるイメージで測定する事』です。この『押し』が甘いと、ゲージが反ってしまい、ホントはまだ隙間があるのに『自分の手で隙間をなくしてしまう』という事になります^^;

この後、ヘッドを組みなおす事になろうとは、夢にも思っていませんでした。。。つづく。

使った工具 マイクロメーター(デジタル版)、ピンポンチ、プラハン、Tレンチ、トルクレンチ、モンキーレンチ、メガネレンチ各種、ソケット各種、シックネスゲージ、
作業後の注意 ブロック、ヘッドに埃が入らないようにして保管する事
Copyright(C)2008 The 32Hozonkai All Rights Reserved.